日本人の学生さんへ
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私の研究方針とか。
新しい捉え方やアイデアが大好物です。
奇想天外な発想は、最高の嗜好品(^〜^)♪
「ひょっとして、こうだったりしてね〜」
そんな半分冗談のような会話の中から、
「本当にそうだった…!? めっちゃすごいやん!」
という本物の発見が生まれることがあります。
その瞬間が、とにかく楽しい。
世界には、まだ誰も気づいていないことが
たくさん埋まっています。
これを読んで、
「確かに、おもしろそうだなぁ」
と少しでも思ったあなたは、
きっと研究に向いています。
とはいえ、
どんなテーマや研究室が合うかは人それぞれ。
いろいろな場所を見て、話を聞いて、
自分の感覚を確かめてみるのが一番です。
もしビビッとくるものがあったなら、
そこがあなたの活躍の場かもしれません。
私のいる京都大学昆虫生態学研究室も、
そのひとつかもしれないので、
これから研究内容をご紹介します。
研究内容
パパとママが子育てする変なムシの研究
昆虫というと、
卵からかえったらあとは自力で生きていく、
そんな生き物を思い浮かべるかもしれません。
実際、そのような種がほとんどです。
しかし中には、家族で子育てをする
ちょっと変わり者もいます。
家族で子育てといえば、
哺乳類や鳥類がそれぞれ独立に進化させてきた
繁殖スタイルとしてよく知られています。
ところが、脊椎動物ですらない昆虫の中にも、
同じように“家族”で子どもを育てる種が
ちらほら存在するのです。
私はその一種、
モンシデムシという甲虫を研究対象にしています。

この昆虫の何がすごいかというと、
パパとママが協力して、
口移しでご飯を与えながら子どもを育てること。
その子育ての様子は、
鳥類と同じレベルと言ってもいいほどです。
このユニークな昆虫を研究することで、
父親と母親の力関係、
兄弟間の競争をどう抑えるか、
親子間でどんなコミュニケーションが必要かなど、
家族の中で起こるさまざまな問題に対して、
生き物たちがどんな解決策を進化させてきたのか
明らかにすることができます。
ごはんの時間を告げる“給餌フェロモン”
お腹が空けば、子どもはねだる。
これは人間でも鳥でも共通して見られる光景です。
モンシデムシの幼虫も同じで、
空腹になると親の口元を刺激して
「ごはんちょうだい!」とアピールします。
でも、よく考えてみると、少し不思議です。
親の側がまだ準備ができていないのに、
子どもが必死にねだり続けたらどうなるでしょう?
不毛なやり取りで
親も子も、無駄に消耗してしまうのでは?
つまり、効率よく子育てをするには、
子どもの「空腹サイン」だけでなく、
親からの「ごはんの準備ができたよ」という合図も
必要なはずです。
調べてみると、母親は給餌の直前に特別な匂いを
放出していることがわかりました。
その匂いをかぐと、
「ごはんよー」と告げる声を聞いたかのように
幼虫たちは一斉に餌乞いを始めます。

この合図は世界で初めて確認された
新しいタイプのフェロモンだったので、
“給餌フェロモン” と名付けました。

昆虫の家族にも、
見えない“ごはんのベル”があり、
子どもが親を動かしているように見えて、
全ては親の手のひらの上、だったんですね。
▼詳細は京都大学プレスリリースへ▼
「給餌フェロモン」を発見:
シデムシの母親は匂いで子の餌乞いを操る
社会を作ってすごいことしてる虫の研究
中世ヨーロッパのような社会を作り、
高度な社会生活をしている昆虫もいます。
彼らはやること成すこと
人間味に溢れていて、おもろい連中です。
社会生活を営んでいると
同じような問題に直面し、
それに応じた進化が起きる結果、
昆虫だろうと似たところに落着するんですね。
社会を揺るがす女王の権力争い
シロアリの社会には王と女王がいるんですが、
遺伝解析をしてみた結果、
そこにはドロドロの王位継承権争いがあり、
社会に無視できないほどの迷惑をかけていることが
明らかになりました。
しかも、王位継承権争いをしていたのは、
1個体の母親のゲノムを半分に分け合って誕生した
ハーフクローンの姉妹たち。
生き物というやつは、
完全に同じゲノムを持つクローンじゃない限り、
いつだって競争関係になってしまうんですね。
▼詳細は京都大学プレスリリースへ▼
シロアリ女王の椅子取りゲーム:
熾烈な内部競争がもたらすコロニー全体のコスト
敗戦国の卵が敵国女王の座を奪う!?
シロアリの一つひとつの巣は、
人間で言えば「国家」のようなまとまりです。
その国家は、王と女王が一匹ずつで巣をつくり、
働きアリ(国民)を育てることから始まり、
やがて働きアリの数が増え、
小さな国は巨大な帝国へと成長していきます。
しかし、新しく生まれた弱小国家は、
すでに存在する大帝国にとっては
ただの競合者にすぎません。
その多くは、近隣の大帝国との戦争に敗れ、
滅ぼされてしまいます。
ところが、
敗戦してすべてが終わり、ではありませんでした。
敗戦国の王や女王、働きアリは殺されます。
しかし不思議なことに、
卵だけは殺されず、大帝国の巣へ持ち帰られ、
そのまま育てられるのです。
どうやら彼らは、
自分たちの卵と敵国の卵を
見分けることができないようなんです。
そして、驚くべきことに、
一部の弱小国家の女王は、
将来女王になりやすい卵を産んでおり、
戦争に敗れた場合、
その女王の卵は帝国へ持ち帰られて成長し、
運が良ければ女王の座に就くことがある
ということがわかったんです。
滅ぼしたはずの国の血筋が、
いつのまにか帝国の中枢を握る――。
まるで、
幼い義経を討たなかったことで
後に天下を奪われることになる
平家物語の一幕のようです。
▼研究内容の詳細は論文(英文)へ▼
負けてもまだ終わりじゃない!
卵の誘拐を介した種内托卵戦略の発見
王と女王の長寿を支える“秘密の健康食”
シロアリの王と女王は、
働きアリに身の回りの世話をすべて任せ、
繁殖に専念する特別な存在です。
その寿命は昆虫としては異例中の異例。
十年以上生きることも珍しくありません。
いったい何を食べれば、
そんな健康長寿が実現できるのか。
きっと特別なものを召し上がっているに違いない。
そう考えて、王と女王に運ばれる餌の成分を
徹底的に調べることにしました。
とはいえ、相手は小さな虫。
口元に運ばれてくるわずかな餌を横取りし、
微量成分を分析する作業は、
分析機器の検出限界との戦いでした。
それでも粘り強く調べた結果、
王と女王の特別食「ロイヤルフード」の正体を
突き止めることができました。
もしかすると将来、
この成分が私たちの健康長寿に
役立つ日が来るかもしれません。
▼詳細は京都大学プレスリリースへ▼
シロアリの王と女王の特別食を世界初解明:
王と女王の繁殖と長寿を支えるロイヤルフード
王と女王だけが持つ“鍵”
シロアリの社会では、
王と女王が繁殖に専念し、
働きアリはそのために必要な餌をせっせと運ぶ、
という明確な分業が成り立っています。
この仕組みを維持するには、
貴重な資源を王と女王に集中させ、
独占的に利用してもらう必要があります。
もし働きアリが途中でこっそり食べてしまえば、
分業システムは簡単に崩れてしまうはずです。
では、なぜそれが起こらないのでしょうか。
王や女王と働きアリの遺伝子発現を比較したところ
働きアリでは、王と女王の餌に含まれる成分を
利用するために必要な遺伝子が
発現していないことがわかりました。
つまり、働きアリはその成分を“使えない”のです。
資源を独占するのは力ではなく、
分子レベルの仕組みでした。
大事なものには、ちゃんと鍵がかけられている。
そんな精巧なシステムが、
この小さな社会を支えているのです。
▼詳細は京都大学プレスリリースへ▼
シロアリの社会における分業システムの鍵を発見:
王と女王だけが持つことを許された酵素を特定
ゲノムに刻まれた“運命の印”
シロアリの社会には、
繁殖に専念する王や女王と、
労働に専念する働きアリや兵アリがいます。
彼らは同じ両親から生まれた兄弟姉妹なのに、
まったく異なる運命を歩むことになります。
一体何がその分かれ道を決めているのでしょうか。
そもそも、一生繁殖しない働きアリの存在は、
より多くの子孫を残す形質が集団中に広まるという
ダーウィンの自然選択の枠組みに反した
生物学最大の謎です。
その問いに、一石を投じる発見に恵まれました。
王や女王が繁殖に専念し、性的に発達するとき、
関連する遺伝子が活発に働くよう、
ゲノムに特別な“印”が付けられます。
さらに調べると、
この印は精子や卵を通じて次世代に受け継がれ、
子どもが担う役割に影響することがわかりました。
「氏か、育ちか」とよく言われますが、
DNA配列でも、生育環境でもない、
親が経験してきた環境を反映した
ゲノム上の“印”という第三の要因。
その情報が、生き物たちの社会進化の背景に
深く関わっているようです。
▼詳細は京都大学プレスリリースへ▼
父親の年齢で子の発生運命が変わる:
シロアリのエピジェネティック遺伝を世界初証明
研究室の様子
お茶部屋
研究のアイデアが生まれる場所。
お茶でも飲みつつ、ホワイトボードに書いて
あーだ、こーだ話してると、
すごい発見のタネが生まれてきます。 
実験室
一通りの分析機器がそろっています。 
実験装置を自作したりして、
誰も到達したことのない発見につなげます。 
お楽しみ系イベントとか。
調査旅行
いろんな場所に調査に行きます。
たっぷり自然を満喫できるのが魅力☆
南の島とか 
北海道とか 
山の中とか 
あと、小舟やプロペラ機に乗れるのも、
地味に楽しい経験になります。 

バーベキュー
火を囲んで食べながら語らうと
なぜか楽しくなる生き物なんです、ニンゲンは。

趣味
他の人の迷惑ならなければ、
趣味で生き物の飼育を楽しんだりもできます。
息抜きって、とても大事。

京都という街
シンプルに京都という地は、
四季折々、いろんな顔を楽しむことができます。




卒業生の就職先
研究室の卒業生たちは、
世界の研究をリードする研究者になったり、
大企業に就職したりして活躍しています。
大学教員や研究所の研究員
大学(国内)
京都大学, 東京大学, 東北大学, 名古屋大学, 大阪公立大学, 新潟大学など
研究所(国内)
基礎生物学研究所, 森林研究・整備機構 森林総合研究所, 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 国際農林水産業研究センター, 理化学研究所, 大阪府立環境農林水産総合研究所など
大学(海外)
オーバーン大学(米国), コーネル大学(米国)など
企業(五十音順)
アサヒビール, 味の素, アース製薬, アクセンチュア, 住友化学, 大日本除虫菊, タキイ種苗, 知能情報システム, 日本化薬, 富士通など
